『マスター・オブ・ゼロ』シーズン1 あらすじ&感想：ハイセンスな笑いで、マイノリティの日常を描いた秀作コメディ。
Netflixの良質コメディ・ドラマ『マスター・オブ・ゼロ』。
多くのアワードで受賞やノミネートを果たしており、Netflixオリジナルの代表作の1つともいえる作品です。
初回リリースから2年以上経ち、今更ながら配信中のエピソードを完走。
メディアや周囲の評判の高さから面白いことは承知の上でしたが、すっかりファンになってしまいました。
ゲラゲラ笑うコメディではなく、登場人物たちの日常や会話に取り入れたユーモアで笑わせてくれるのですが、その空気感がどんどんクセになってきます。
まず、本作を語るのに欠かせないのがアジズ・アンサリという人物。
制作・主演を務めるアジズ・アンサリ
『マスター・オブ・ゼロ』は、コメディアンのアジズ・アンサリがプロデューサー・主演・脚本を務めるコメディ・ドラマです。
アジズ・アンサリはスタンドアップ・コメディアンとしてデビュー後、2009年にNBCの大人気コメディ『Parks and Recreation』に出演しブレイク。
2015年に本作をリリースし、彼の才能は世界中に知れ渡ることとなりました。
共同制作者のアラン・ヤンと共に2年連続エミー賞の脚本賞を受賞し、2017年のゴールデングローブ賞でコメディ部門の主演男優賞を獲得しています。
『マスター・オブ・ゼロ』シーズン1 あらすじ
主人公のデフは、ニューヨーク在住の売れない役者で、過去に出演したCMのギャラで生活している。
キャリアアップを目指しながら、マイノリティの友人・インド人の両親・バーで出会ったガールフレンドと過ごす日常をユーモラスに描いている。
『マスター・オブ・ゼロ』シーズン1 感想
マイノリティの目線で描く笑いが最高
本作は、ウィットに富んだ会話と日常やマイノリティの「あるある」で笑わせてくれる、アジズ・アンサリのセンスが光るコメディです。
全体を通して主人公デフの友人関係・恋愛・キャリアを含む日常を描いていますが、毎エピソードに1つのテーマがあり、どれも見やすくて面白いです。
デフはインド人、友人は台湾系アメリカ人のブライアン、黒人でレズビアンのデニース、巨大な白人男性のアーノルドと、メインキャラがマイノリティで固められているのですが、
彼らの視点で人種・女性・同性愛者への差別問題をも笑いのネタにしています。
例えば、子供が絵に描いたデフの肌が黒くて「これ人種差別じゃね？」とツッコんだり、
第3話『インド人・オン・TV』では、テレビで見るインド人のステレオタイプに不満を持つデフに、オーディション関係者からインド人差別を含んだメールが誤送されるなど、
差別を日常の１つとして取り入れ、自虐しつつも吹っ切れているような、ポジティブな姿勢で笑わせてくれます。
彼らの態度を見ていると、細かいことがどうでもよく思えてきます（笑）
また、デフのインド人の両親がいい味を出しているんですよね～。
デフはアメリカ生まれの英語ネイティブですが、両親は移民なのでインド訛りがありつつも、ノリやジョークが中途半端にアメリカナイズドされていて面白い。
驚いたのは、父＆母役を演じているのがアジズ・アンサリの実の両親だということ。
素人なのに、あのコメディセンスすごくない？
デフ父 Photo by IMDb
アラサーにおすすめ
そして、メインキャラが「30歳」というのもこの作品のキーだと思います。
アラサーになると、自分のキャリアや結婚など先の人生について考える人が多いはず。
デフも同じように、役者としてのステップアップや女性との出会いを求めて積極的に動いています。
S1ではレイチェルというガールフレンドが出来て、彼女のキャリアアップが障害になりつつも、着実にシリアスな関係を築いていく2人。
しかし、30歳という年齢は「新しいことを始める最後のチャンス」のような気がしてしまうんですよね。
キャリアか恋愛か苦渋の選択を迫られ、決断を下す姿は、多くのアラサーの心に刺さるでしょう。
私も現在30手前で、毎日キャリアについて考えています。
長い目で見て何がベストか、どうしたら納得のいく道を見出せるか悩む日々。
置かれた環境は違っても、同じ年代ならでは共感できる部分があり、この先の人生について改めて考える機会を与えてくれます。
まとめ
笑いを求めて見るもよし、人生に迷いがある時に背中を押してもらうもよし。
『マスター・オブ・ゼロ』は、肩の力が抜けたコメディでありながら、人生を真面目に描き、視聴者の心に訴えかける力を持った秀作です。
30分×10話という手軽さも魅力な、是非オススメしたい海外ドラマです！
