ドラマ『ダイエットランド』1&2話感想:女性必見、ファッション業界を舞台にフェミニズムを訴えるダークコメディ【Amazonプライムビデオ】
Photo courtesy of AMC
6/4にスタートした米AMCの新作ドラマ『ダイエットランド』(原題:Dietland)1&2話を視聴しました。日本ではAmazonプライムビデオで配信されています。(初回1&2話、3話以降は毎週1話更新。)
※全話見た感想はコチラ。
はじめに言います。
このドラマ、女の人は絶対好きだと思う。
サライ・ウォーカーによる同名小説のドラマ化で、『バフィー ~恋する十字架~』や『UNREAL』のプロデューサー/脚本 マルティ・ノクソンが本作を手掛けています。=女が強いドラマなのは間違いなし。
舞台はニューヨーク、主役は有名ファッション誌の編集長の下で働く女性…と聞けば『アグリー・ベティ』や『プラダを着た悪魔』のような華やかな世界を思い浮かべるかもしれません。
・・・が、主人公のプラムは低賃金の在宅ライター(しかも編集長のゴーストライター)で、行動範囲は家から5ブロック以内の狭い世界で生きている。
幼い頃から肥満に悩み、外に出れば他人にからかわれ、ダイエット・プログラムに参加しても体重が減らないために減量手術すら受けられない。
とにかく「肥満」に悩みまくる主人公が、秘密のフェミニスト集団に手を貸し、外見を重視する世の中や人々に復讐する…という、華やかさよりもダークな面が際立つドラマです。
そして、美に憑りつかれたファッション誌の編集長を演じるのは、『グッド・ワイフ』のジュリアナ・マルグリーズ。赤毛&厚化粧で別人のような彼女の姿にも注目です!
それでは以下、『ダイエットランド』の感想です。
『ダイエットランド』あらすじ
何度もダイエットに失敗し、肥満に悩み続ける主人公のプラム。
人気ファッション誌「デイジー・チェーン」の読者投稿を担当し、編集長キティのふりをして読者の悩みに答えている。
太っている自分を不当に扱う世の中や、美を重視するキティにウンザリする中で、秘密のフェミニスト集団に目をかけられ、行動を起こさないかと勧誘される。
一方で、レイプなど女性を不当に扱う男性たちが、「ジェニファー」と名乗る集団から殺害される事件が起きる。
『ダイエットランド』登場人物
プラム(ジョイ・ナッシュ)
(Instagram/Dietland)
オースティン社が出版するファッション誌「デイジー・チェーン」編集長のゴーストライター。
肥満を憎み、あらゆるダイエットに挑戦するも失敗ばかり。文章と同じぐらいお菓子作りが得意。
キティ(ジュリアナ・マルグリーズ)
(AMC)
「デイジー・チェーン」の編集長で、若い女性の憧れ。性格はディーバ系、美を保つことが生きがい。
ジュリア(タマラ・タニー)
(Instagram/Dietland)
「デイジー・チェーン」オフィスの地下にある "美のクローゼット" で責任者を務める。キティに悩み相談の手紙を送る女の子たちを、オースティン社の洗脳から解くためプラムに協力を求める。
リータ(エリン・ダーク)
(Instagram/Dietland)
ジュリアの使いで、プラムをストーカーし素性を調べていたゴス系女子。
ヴェレーナ・バプティスト(ロビン・ウェイガート)
(Instagram/Dietland)
バプティスト減量診療所 創設者の娘。両親の死後、すべての診療所を閉鎖した。
ドミニク(アダム・ロゼンバーグ)
(AMC)
「デイジー・チェーン」のハッキング事件を担当する探偵。プラムに接近する。
スティーヴン(トランメル・ティルマン)
(AMC)
プラムが心を開く数少ない友人。カフェを経営している。
エラディオ(リカルド・ダビラ)
(AMC)
「デイジー・チェーン」の受付係。いい味出してくれそう。
『ダイエットランド』1&2話 感想(ネタバレ有)
※以下、『ダイエットランド』1&2話のネタバレを含みます。
色んなドラマを彷彿とさせつつも新しい・・・ファッション・美容・恋愛・キャリアといった女性を引きつける要素に、殺人や復讐といったダークな要素を掛け合わせ、アニメーションまで足した個性的なドラマでした。
面白いです。女性に不当な扱いをする世の中を「改革」するというより、女性の敵に「復讐」するというダークな考えが興味をそそります。
物語の語り手・主人公のプラムは肥満に悩む女性で、とにかく色々なダイエットに挑戦してきたけど、ことごとく失敗。文才を生かし切れず、人気ファッション誌の編集長に代わって読者の手紙に回答する仕事で何とか食いつないでいます。
わずか2エピソードで、通りすがりに体型をいじられるシーンが3回ほどありましたが、実際にこういうことが起きるのでしょうね。
日本では、「アメリカ人は太っていても気にしない」とか「太ってるのが魅力」とか思われがちですが、そうではありません。アメリカでも「肥満=醜い」という方程式が成り立ち、肥満の人が虐げられていることが本作で分かります。
顔だけ見たら、編集長のキティよりプラムの方がカワイイと思うんですけどね。
頭も良いし、お菓子作りも上手だし、体型のせいで殻に閉じこもっているのがもったいない。
そんなプラムに目を付けたのは、「デイジー・チェーン」で美容製品の倉庫を管理するジュリア&部下のリータ。
編集長のキティに手紙を送る5万人の読者たちを洗脳から解こうと、会社にハッキングまで仕掛け、プラムに彼女たちの連絡先を渡すよう求めます。
もう、怪しさ満点。
ジュリアたちが属するフェミニスト集団のトップは、有名な「バプティスト減量診療所」創設者の娘ヴェレーナで、
両親の死後に診療所を全部閉鎖した反ダイエット主義者。
彼女は、性差別と戦う人をサポートするため「新生バプティスト計画」とやらを打ち出し、プラムに報酬2万ドルをオファーします。
詳細は伏せられているので、具体的に何をするか謎。いい人そうだけど、現実に起きたらコチラも怪しさ満点…。
一方で、世間を騒がせているのが、レイプ犯たちを殺害した過激派グループ「ジェニファー」。犯行時のマスクがめっちゃ怖いんですよね(笑)
果たしてこの「ジェニファー」と、ヴェレーナ率いるフェミニスト集団は同一なのか?
違うのであれば、この2つはどうリンクしていくのか、非常に気になるところです。
また、恋愛要素としては、ハッキング事件を捜査するドミニクとプラムが急接近。
手作りケーキまで食べさせていい感じだったのですが、ドミニクには裏がありそうです。
事件解決のためプラムを利用したいのか、疑っているのか、それともドミニク自体が怪しい奴なのか…。これは要注意人物。
そして、プラムがたまに手伝っているカフェの従業員 ベンも彼女を気になっている様子。これまで彼氏はいたことないくせに、現在その候補が2人!(とか言って、勘は外れるかも。)
注目すべき編集長のキティは、「サイズ2の維持が難しい」とか平気でプラムに話しちゃうような無神経なディーヴァタイプ。
読者に「ろう人形みたい」と言われるほど美しくないとツッコみたくなる一方、ジュリアナ・マルグリーズの演技はしっかりハマっています。
彼女が出ているシーンでは、『アグリー・ベティ』や『プラダを着た悪魔』を思い出してしまうのは必至。
上から下まで完璧なルックスの社員や、スタイリッシュなオフィスなど、多くの女性が夢見る米ファッション雑誌社の華やかさを見せてくれます。ホント憧れる(笑)。
とはいえ、本作はありきたりなガールズドラマではなく、Me TooやTime's Up運動が起きている今の時代にピッタリの、フェミニズムを強く訴える作品だと思います。
加えて、ブラックコメディというジャンルが内容を重くせず、サクサク観られるのが高得点。
初回2話で散りばめられた謎がどう解き明かされるのか、どう繋がっていくのか、ぜひ最後まで見届けたいです。
※全話見た感想を、ネタバレ有りでアップしました。